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絵本

題名 ふしぎなでまえ
かがくい ひろし
発行 講談社 / 2008年1月
サイズ 27 x 22cm・24ページ
 とても楽しい絵本です!

 でも……

 トーンが暗いのです。

 摩訶不思議な妖怪の世界を覗き見るような感じがあります。

 表紙に描かれているのは、出前用のオカモチの中に入れられたラーメンとカレーライスと寿司。
 三つの料理には、かわいらしいまん丸の目がついています。

 でも……

 薄汚れたようなオカモチの中から、そんな目で見つめられると、かわいらしさは失われて、不気味な雰囲気が伝わってきます。

 ちょいと例えてしまうと……

 良からぬ事を思いついた ねずみ男が、鬼太郎のもとへ持っていこうとしているような出前です。

 本文前の扉に描かれている「おしながき」だってそうです。

 古めかしい昭和のにおいのする「おしながき」は、二つ折りです。
 でもなぜか、閉じられることなく開かれたままになって、細ヒモで吊り下げられています。

 なんだか妖気を発しているような気がします。

 でも……

 とても楽しい絵本です!

 笑えるのです……

 笑えるのだけれど、ピンとした緊張が、気持ちのどこかに残っています。

 きっとそれが、不思議さであり、不気味さであり、妖しさです。

 けれどもそれらが、笑いを奪っていくようなことはありません。
 逆に、笑いを増幅させて雰囲気を盛り上げます。
 相乗効果です。

 いつもは無愛想でつまらなそうにしている人が、表情はそのままで、突然、むちゃくちゃ面白い話を始めたのを、聞いているような感じもします。

 大好きです!

 じっくりと味わってくださいね。
 なんといっても「不思議な出前」なのですから。


題名:ふしぎなでまえ

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