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絵本

 題名 紙しばい屋さん
  アレン・セイ
 発行 ほるぷ出版  / 2007年3月
 サイズ 27.3 x 24.5cm・32ページ
 紙芝居は日本発祥のものです。
 最近では、ベトナムなどの東南アジアの国に紹介されたりしていますが、海外では、ほとんど見ることは出来ません。

 それにこの「紙しばい屋さん」は、街頭紙芝居を職業としているおじいさんが主人公の話なのですが、現在では日本であっても街頭紙芝居は、なかなか見ることができません。

 けれども作者は、「アレン・セイ」というアメリカ在住の人です。
 しかし作者紹介を見ると、1937年横浜生まれと書かれていました。
  ○参考 

 そんな経歴の作者が、やわらかな風に舞う羽毛を両手でふわりと包み込むようにして、日本の良さを描き出しています。

 あったかい気持ちになることができます。
 何度も眺めなおせば、さらにその気持ちが深まっていきます。

 それから街頭紙芝居を見たことのない人でしたら、「紙しばい屋さん」によって疑似体験をすることができます。


―――――――――――――――――――・―――・―・

<少し関係のない話>

 「紙しばい屋さん」は、実に写実的で詳細な絵です。
 そして、なぜだかひじょうに懐かしい感じがあります。

 「紙しばい屋さん」を実際に見れば、ほとんどの人が「当然だろう」と言うはずです。
 なぜならば、この物語自体が「今からちょっと昔」の話ですし、回想シーンでは、1950年代のテレビジョンが登場したころの話が出てくるからです。

 でも、懐かしさを感じるのは、描かれている時代のためだけではありません。
 絵が、かもし出している雰囲気のせいです。

 そんなことを考えていた時に思い出したのが、以前に養命酒のCMに登場していたことのある高橋まゆみさん制作の人形です。
 やはり、実にリアルで生きているようです。そして、何ともいえずあったかい懐かしさを感じます。

  ○高橋さんのHP 

 個人的な感想なのですが、この非常にリアルな絵も人形も、私には止まって見えるのです。
 生きているようで動き出しそうなのですが、やはり実際には止まっていることを知っているという感覚です

 これは、ひとつも悪い意味で書いていることではありません。
 止まって見えることによって、安心感と穏やかさを感じるのですから。

 過ぎ去った時代が切り取られて、そこに奇跡的に留まっていてくれたことの喜びがわき上がってきます。
 ホッとします。和みます。

 そしてまた個人的な感想なのですが、「浮世絵」に描かれた人物には、懐かしさは感じません。
 それは、自分が生きてきた時代と重なることのない、遠い時代のものだからということだけではありません。

 浮世絵は、しっとりと落ち着いていても、躍動感があり危険な色気をはらんでいるものが多いように思います。

 そのような絵には、「動き出しそうな」ではなく「動いている」という緊張感があります。
 ですから浮世絵の場合は、静止している絵であることを知っていても、描かれた人物が動いているように感じるのです。
 そしてそこに、懐かしさを感じることが出来ないのです。

 好みの問題ですが、私は「紙しばい屋さん」の絵も浮世絵も、もちろん高橋まゆみさんの人形も大好きです。

題名:紙しばい屋さん

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