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 題名 月夜と眼鏡
  小川 未明
  さいとう しずえ
 発行 2003年11月
 月に1度、老人ホームでの おはなし会 に参加しています。

 おはなし会には、軽い痴呆症になられた方も来てくれます。
 そんな方たちの中には、ときどき奇声を発したり、お話とは関係のない話をしたり、床を踏み鳴らしたりする方もいらっしゃいます。

 そこで、ここでの よみっこは、とにかく楽しい絵本や紙芝居をやるようにしていました。
 テンポがいいものであったり、リズミカルな言葉が出てくるものなどを意識的に選んでいたのです。

 けれども、楽しいという印象とは、まったく違う絵本なのにもかかわらず、どうしても よみっこしてみたいと思うものを、仲間から紹介してもらいました。
 それが、「月夜と眼鏡」です。

 この絵本の、何が気に入ったのかというと、「雰囲気」です。

 おばあさんが主人公のメルヘンなのですが、「静か」なのです。

 メルヘンですから、思いもかけないできごとが起こります。
 それにもかかわらず、最初から最後まで、静かさが失われることはありません。
 「静謐(せいひつ)」なんていう言葉が、ぴったりと、あてはまるのかもしれません。

 「月夜と眼鏡」を読み始めると、疲れた体でふとんの中にもぐりこんだ時、またたくまに眠りの中に落ち込むように、小川未明さんの世界に引き込まれていきます。

 そこは、うつつか幻かの境目が見えない状態で、不安定のようでありながら危険を感じることがなく、身を任せてしまおうと思うことのできる場所です。
 とても心地がよくなってきます。

 このような世界にいざなってくれるのは、文章の力にくわえて、未明さんの世界を壊すことなく視覚化してくれている さいとうしずえ さんの絵の力があるからだと思います。

 引き込まれていく世界は、静かで、とてもやすらぎます……

 この雰囲気を、おはなし会で、ホームのみなさんと共有したいと思いました。

 当日、みなさんが、「月夜と眼鏡」をどう受け取ってくれたのかは、わかりません。
 ただ、なんとなく、静かだったのです。
 途中で居眠りをした方も、いらっしゃいました。
 そして、よみっこした後も、しばらく静かでした。

 いいと思いました。
 勝手な思い込みかもしれませんが、こんな雰囲気もいいかもしれないと思いました。


 老人ホームのおはなし会は、毎回、毎回、緊張します。
 そして、毎回、毎回、これでいいのかなという思いが込み上げてきます。

 だからまた、よみっこをしに出かけてしまうのかもしれません。

―――――――――――――――――――・―――・―・

 児童文学作家・井上明子さんのHPで「月夜と眼鏡」を紹介していました。

□ HP「井上明子の文芸三昧」  

 「月夜と眼鏡」紹介ページ  

* HP内に記載のお問い合わせ先に連絡すれば、「月夜と眼鏡」を
購入することもできます。
題名:月夜と眼鏡

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