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絵 本

 題 名 わすれんぼ・ちびくん
  マイク・キビー
  バーバラ・ナッシムベーニー
  くどう なおこ
 発 行 小学館 / 2001年5月
 サイズ 27.5 x 22cm ・ 25ページ
 朝の目覚めは、いつでも気持ちのいいものだったらいいのにと思いませんか。
 でも、いつだって、まだ寝ていたいのに目覚まし時計の音で叩き起こされます。たとえ布団の中で、ぐずぐずしていたって、「あ〜、起きなくちゃいけないんだよな」と思っているはずです。
 こんなことでは、気持ちのよい「まどろみ」なんかあるはずがありません。レースのカーテンから漏れてくる朝の光をあびて爽やかに目覚めるなんていうことはないのです。。。ないですよね!?

 でも、この絵本の主人公・犬のちびくんよりは、ましなのかもしれません。ちびくんは、朝、目がさめたら何もかも、すべてのことを忘れていたのですから。自分の名前さえも分からないのです。
 何も思い出せないちびくんは、ベットの上で、ぬいぐるみのように固まっています。けっこうかわいい顔です。でも、ちびくんは、かわいぶっているのではなくて、何も分からなくてかわいい顔になっちゃっているのです。分かります。すごくよく分かります。何も分からない状態は、赤ちゃんに逆戻りしたようなものなのでしょうから。

 でも、このままでいいわけがありません。ちびくんは、とにかく名前を知るために、自分の名前が書いてあった首輪を探しに出かけるのです。

 最初、ちびくんが何者なのかを知るということが、自分の名前を知るということになるのは寂しいなと思いました。
 なぜならば、名前は記号でしかありません。ちびくんがちびくんであるためには、もっと大切なことがあるのではないかと思ったのです。
 でもしっかりと、ちびくんは、みんなに名前じゃないことで知ってもらえていたのです。

 ひとつ、付け足しです。
 「これはノミのピコ」にも似た、どんどんと増えていく言葉も、楽しみの一つです。

わすれんぼ・ちびくん

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