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絵本

Amazon.co.jp  題名 ぺこぺこ
  佐野 洋子
 発行 文化出版局 / 1993年7月
 サイズ 30ページ

 「ぺこぺこ」といったって、お腹がすいているわけじゃない。
 それに、空き缶がへこんで、ゆがんでいるわけでもない。

 (でも、空き缶のぺこぺこは、なぜか大いに関係がある……)

 「ぺこぺこ」は、しきりにおじぎをしているさまを表している。

 「ぺこぺこ」のイメージは、たとえば礼儀正しさといった良いものではない。
 こびへつらっているようなマイナスのものになる。

 それなのに、この絵本の中で「ぺこぺこ」しているのは、一国の王様だ。

 王様が「ぺこぺこ」すると、周囲の者は、おきさき様までもが「ふん」と言う。

 こんなことで国を治めることが出来るのだろうか?
 と、思っていると……

 なんとこの王様、仕掛けられた戦争を「ぺこぺこ」することによって、互いに死者を出すこともなく収拾させてしまう。

 王様が「ぺこぺこ」できるのは、人としての大きさがあるからなのだろう。
 そして周囲の者が「ふん」と言ってしまうのは、人として未熟だからなのだろう。

 まぁ、そんな周囲の者にも、感心できる点はある。

 思わず「ふん」と言ってはいても、ちゃんと王様の偉大さを分かっていて、王様を王様として認めているところだ。

 これは王様を買い被っているわけではない。
 ひとつ重要なシーンがある。

 戦争開始直前のこと……

 「おうさまは ゆっくりと かがみのまえで、よろいかぶとをかぶって、かたなをもつと、かがみにむかって ぺこりとあたまをさげた。」

 ……と、書かれている。

 王様の戦争に対する気持ちを表している重要な場面だ。

 鏡の前の王様の顔は描かれてないのだけれども、腹をくくった王様のりりしい顔が見えたような気がした。

 周囲の者とは、胆(きも)の座り方が違う。

 王様の体の中には揺るぎない芯が通っているので、決断に速さがあり命令も明確だ。
 命令に対して周囲の者は、王様への信頼があるために、いつもの態度とは裏腹に、迷いなく付き従うことが出来る。

 とてもすばらしい国だ。

 はたしてこんな国はあるのだろうか?

 ……そこで気がつく。

 おじぎをする主な国は……日本……

 ……そこで考える。

 王様の体の中に通っている揺るぎない芯とは何なのか!?


 ……9条……!


 偉大な王様は、私たちに、そんなことまで考えさせようとしているのかもしれない。

 

題名:ぺこぺこ

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