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  菊地 ただし先生
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  追悼 菊地ただし 先生   
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    追悼 菊地ただし 先生


 菊地ただし先生は、2006年の3月24日に亡くなられました。


 先生は、童話作家であり、民俗学者であり、臨済宗の僧侶であり、語り部であり、児童文学の会・メルヘン21での指導者でもありました。


 ガンであったにもかかわらず、間際まで仕事を続けていた先生は、亡くなるひと月前の2月17日にも、東京の八王子にあるホールで、語りのイベントを開いていました。
 先生がガンであることは、私も含めてほとんどの人が知らなかったはずです。

 「八王子のとんとん昔話とマリンバのことだま」と題されたイベントは、菊地先生と先生が指導していた語り部の会のメンバーによる語りと、マリンバ奏者である新谷祥子さんとのコラボレーションによる舞台でした。

 300を超える客席が一席残らず埋まっていた会場の中で、先生の語りに、ふわふわと引き込まれていきました。
 先生の語り口は、力みがなくやわらかで、私の体内をゆるゆると、もみほぐしてくれているようでした。

 私は、私自身の図書館で開かれるスペシャルおはなし会が迫っていたこともあり、いっしょに出演する よみっこ仲間2人とともに観ていました。
 イベントの後、3人は感動して盛り上がり、ちょいとビールで体と気持ちを冷ましながら、また盛り上がりました。

 先生たちのイベントに対しての感想は、それぞれ違うものがあります。
 けれども、1週間後にせまった自分たちのおはなし会のために、大きなパワーを与えてもらったと感じたことは、3人とも同じでした。

 ガンを抱えた体でホールに立ち、昔話を語るだけでも、どれだけのパワーが必要なのか計りかねます。
 それなのに先生は、その体で、他人にまで多くのパワーを与えてくれたのです。

 菊地先生は、この日の語りを象徴とするような、限りない優しさと、絶大なパワーをあわせ持った人でした。

 先生は、いくつもの児童文学や語りの会などにおいて、いろいろなことを指導していました。
 そしてそれぞれの場で、絵本の「おおきな木」に登場する木のように、まさに身を削るようにして、惜しみなく、さまざまなことを与え続けてくれたのです。
 それも当然のことながら、ご自身の作家活動を続けながらです。

 先生の語りは、このような78年の人生を生きてこられた先生自身にしかできないものです。

 それでも私は、先生のあの語りを目指したいと思いました。
 それは、尊敬する先生に半歩でも1ミリでも近づくための、一つの方法であると思うからです。

 私は、おはなし会が立て続けにあったことなどもあり、しばらくの間、メルヘン21の合評会を休んでいました。
 先生に電話で、「4月から復帰します!」と話をしていたところでした……

 先生たちのイベント終了後、私は、「感動しました!」と、直接に伝えることができました。
 そしてこのあいさつが、先生にお目にかかった最後となりました。

 菊地先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 
 

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