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 まく読むってどんなこと?
   ● すてきな服でも似合うとは限らない

 ボランティアで読み聞かせをするなら、「うまく読まなければいけない!」と、思っている人がいるかもしれません。
 けれども、「うまく読む」とは、どういうことなのでしょうか。

 「うまいな〜、いいな〜」と感じる読み手は、たくさんいます。けれども、その読み手たちは、同じ読み方をしているわけではありません。また、その人たちの読み方が、他の誰にもふさわしい読み方であるとはかぎりません。

 演劇論や役者論には、いくつもの意見があります。それらは、みんな一つの考え方に過ぎません。
 また、武道や、お花や、お茶や、踊りなどには、流派があります。違う流派を一つにまとめることなどできません。
 他人の着ている服がすてきだな〜と思っても、自分に似合うとはかぎりません。
   ●  自分で作り上げていく「うまく読む方法」

 うまく読む方法は、読み手によって違いますから、自分で作り上げていかなければならないものなのです。
 このような気持ちを最初に持っていた方が、読み聞かせ活動をしていく上で、いろいろな面で柔軟に対応できると思います。
 ただし、この気持ちに凝り固まってしまうと、人の意見を取り入れなくなったり、周りの人たちや聞き手に対し、一方的に自分の考えを押し付けたりという結果になりかねないので、その点だけは気を付けなければいけません。

 「うまいな〜、いいな〜」と感じる読み手が築き上げてきたものは、後に続く人たちが、吸収することのできる貴重な財産だということも忘れてはいけないことです。
   ●  たくさんの読み聞かせを見てみる

 それでは、ボランティアの読み聞かせはやってみたいけれど、どうしたらいいのかわからないという人は、まず何を始めたらいいのでしょうか。
(ボランティア活動に関する手続きなどのことではなく「読み方」についてのことです)
 グループに参加していれば、仲間がいろいろと教えてくれると思いますが、何も知らない人たちが集まって、「やってみようか」ということになったり、一人で始めてみようかなと思っている人は、そうもいきません。

 まず始めに、読み聞かせの現場に足を運んで、とにかくたくさんの読み聞かせを見てみることが必要です。1回でも多くです。
 聞き手が目の前にいることを想定して、一人で声を出して本を読むことは、もちろん有効です。たくさんのハウツー本を読んで、知識を蓄えることも無駄にはなりません。しかし最初はそれ以上に、他人の読み聞かせをたくさん見てみることが大切です。

 そこで、いろいろなことを感じるはずです。それは、「うまいな〜、いいな〜」ということだけでなく、「好きだな〜」とか「ちょっと違うんじゃないかな〜」とか「これだったら、できるんじゃないかな〜」とか「こんな感じでやってみたいな〜」などといったことです。
 また、聞き手についても、「うけてるな〜」とか「うまいと思うのに反応がないな〜」とか「引いているな〜」とか「こんなところで笑うんだ〜」などといったことが分かるはずです。
 実際の読み聞かせの現場で、情報をたくさん仕入れておくことです。

 このような情報は、自分がボランティアで読み聞かせをする時の栄養分になります。
 付け加えておくと、栄養を得られる場所は、読み聞かせの現場だけではありません。芝居、映画、落語、音楽、小説、絵画、などなどなど、いろんなところに転がっています。
   ●  自分のスタイルを見つける

 情報を仕入れて、どうするのか?

 他人の読み聞かせを数多く見ているうちに、自分のやってみたい読み聞かせというものが見えてきます。
 それが、自分の目指す読み聞かせの「最初のスタイル」になります。
 ですから最初のスタイルは、物まねのようなものです。

 物まねは、いいことです。最初は、漠然とあんなふうに読み聞かせをしてみたいと思っていただけだったものが、物まねをすることによって、間のとり方や息づかい、ページのめくり方、目配せのし方などが自然と身に付いて、なぜそうするかという意味もわかってきます。

 けれども、その最初のスタイルは、変化をしていくものです。
 他人のスタイルだったものが、自分のスタイルになっていくからです。
 また、自分の好きなスタイルと自分に合っているスタイルは、必ずしも一致しているとは限りません。

 最初のスタイルが頭の中で知らないうちに成長して永遠の目標として残る人もいれば、変更部分が見つかる度に最初のスタイルに手を加えて育て上げていったり、まったく別のスタイルを探し出したり作り上げる人もいます。
 また、そんなスタイルのことなど、ぜんぜん意識することなく、すばらしい読み聞かせをしている人もいます。
   ●  自分のスタイルにどれだけ近付けるか!

 「うまく読む」ということは、自分のスタイルを見つけることができたかどうかということにつながります。そして、そのスタイルに、どれだけ近付けたかということです。

 もちろん、そのスタイルの中には、これまでに述べてきた、「読み聞かせをする時は、聞き手に寄り添い、本に対する感情を大切にする」ことと、「新たな作品を作り出すのではなく本そのものを伝えるということ」が含まれているはずです。
 この点が成立していれば、読み聞かせとして問題ありません。
 聞き手に寄り添い本そのものを伝えることによって、聞き手が楽しんでくれたなら、どんな読み方であっても、それは「読み聞かせ」です。

 最後に、付け加えておくことがあります。

 自分自身を表現する読み聞かせを否定しているのではないということです。逆に、そういった活動が、いろいろな所であっていいと思っています。
 ただし、活動する意味と場所が、違ってくるということです。
   ● 付け足し

 ここまで、書き進めて気になったことがあります。
 「なんだかボランティアの読み聞かせって難しそうだから、やめちゃおうかな」と思う人がいるかもしれないということです。

 難しいことなんてないのです。
 ここまで書いてきたことをまとめると、「読み聞かせをする時は、聞き手に寄り添い、本に対する感情を大切にする」ということと「新たな作品を作り出すのではなく本そのものを伝えるということ」だけなのです。

 読み聞かせは、本を介していますが、人が人に対していることに変わりはありません。ですから、そのまんまの自分で、聞き手の前に立って、読み聞かせをすればいいのです。
 その時に、「聞き手に寄り添い、本に対する感情を大切にする」ことだったら誰にも負けないという気持ちが、小手先の技術などよりも、よっぽど読み手に勇気を与えてくれるに違いありません。

 楽しい「よみっこ」が、家庭の中だけでなく、ボランティアでもたくさんできればいいですね。

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